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薄毛になるメカニズム

ヒトはなぜ薄毛になるのか?

薄毛になる原因がわかれば、対策がとれるし、薄毛にはならないんじゃないのか?皆、そう思っています。ですが、現実は歳を重ねると、太かった髪の毛は細くなり、軟毛となり、そして髪の毛の総数は減っていきます。
ああ自分も歳をとったなぁと弱った髪を見て、老いを感じます。しかしながら、歳を重ねても、髪がふさふさな人がいます。恐ろしく髪の元気な人がいます。逆に若くても髪の毛がほとんどない人もいます。これはいったいどういうことなのか・・・?

1つの事実として、髪の毛の状態というのは、必ずしも年齢に比例しません。髪をケアすることによって、よくも悪くもなります。そして重要なことが、髪は健康のバロメータであるということ。髪が弱々しい人は、体にもどこか問題を抱えている可能性が高いでしょう。髪がいきいきと若々しくあろうとするならば、髪だけを見ていても、良くはなりません。食事・睡眠・運動といった健康的な生活がどれだけ送れているかということが大事になります。

育毛グッズが売れる現状

(それは育毛グッズが、まがいものばかりだから。嘘の情報に流されてお金を払い続ける人たち)

薄毛に悩む人は多い現代ですが、それはいったいどれほどの人が、髪の毛に対して悩んでいるか、ご存知でしょうか?

2013年の厚生統計協会による、日本人男性の薄毛に対する意識調査によると、日本人成人男性4200万人のうち、薄毛を気にしているのは、800万人~1000万人程度いると推定されていました。

20~69歳の日本人男性8,100人を対象に、「ヘアケアに関するアンケート」としてFAX調査を行い、6,509人の有効回答について解析を行いました。 厚生統計協会:日本の将来推計人口(2002年1月推計)の2003年(中位推計)をもとに推計。
板見智:日本医事新報, 4209, 27-29, 2004より作図。

それが、2018年になり、株式会社リクルートライフスタイルの調査によると、自身が「薄毛である」と答えた人のボリュームは男性約27%、女性約9%と男性が高いが、前年比で見ると女性は「薄毛である」と答えた人の割合が増加しています。

昔と比較すると、男性は若干薄毛で悩む人口が気持ち減少傾向にあるが、3人に1人は薄毛であるし、実際にはそれほど変わりません。また、女性で薄毛に悩む人が増えている傾向があげられます。

薄毛に関する意識調査2018

薄毛に関する意識調査2018年 (別サイトへ遷移します)

女性の薄毛問題は、これは明らかに女性で働く人が増えたことが原因と推測できます。

人は歳を重ねれば、必ず老いて、髪も弱く薄くなります。生理現象ですから仕方ありません。それでも、髪が薄くなることに抵抗がある人は、大勢います。だから、今も薄毛の問題は依然として、なくなっていません。その問題解決にやっきになる人は、常にいるのです。

一方、物には不自由しない現代です。当然、髪に悩む人を助けるグッズ・アイテムも山ほどあります。育毛剤、薬、サプリ、シャンプー、育毛器具、マッサージグッズなど、多種多様にあって、それだけあれば、薄毛に悩む人もみるみる少なくなっていきそうなものですが、果たして、育毛グッズを手にした人は、皆、薄毛の問題を解決できているのでしょうか?

最近では、AGA治療も、薄毛の人には、選択誌の1つとして、当然のように目にするようになっていますし、「薄毛に関する意識調査2018」などを見ていると、通院治療や、育毛グッズを購入して、悩みを解決できた人も一定数いるのかと思いますが、統計的に見ても、まだまだ薄毛に悩む人が激減している訳でもなく、育毛シャンプーなどが人気であるような現代は、薄毛に対して、大きな勘違いをしている人、そもそも薄毛に対する理解がなさすぎる人が多いように思います

人が何としても解決したいような『悩み』をターゲットにして、商売する輩はごまんといます。だから、根拠もないような情報でも、自分が利益を得るために、適当に情報を拡散させます。特に育毛関係では、腐ったような情報サイトが目立ちます。育毛ジャンルに限った話ではありませんが、やはり育毛業界にはそれが多いと感じます。

(2018年頃のGoogleの検索アルゴリズムの変化により、育毛など医療に関する情報サイトは、企業もしくは専門家を有する団体ではないサイトが見つかりにくくなった背景はあります)

薄毛=ハゲを克服するには、情報に踊らされず、自分で正解を見つけるしかありません。情報を鵜呑みにせず、悪いこともいいことも、オープンにしているサイト、話に信憑性があるかないかを吟味して、ご自身の薄毛の問題を解決するようにしてください。当ブログは、20年以上前から、自身を実験台にして書いています。それは当初から、この嘘が蔓延する育毛業界の中で信じられるブログにしたかった思いがあります。一時は、自分が運営する商品を推薦するような動きもありましたが(それでも本当に使用して当時はそれが良いと思っていました)、今はフラットに薄毛問題を解決しようと思っています。

根本から間違っています!

薄毛の人が泥沼にはまって抜け出せない原因とは何なんでしょうか?

育毛シャンプーでは毛は育たない

こんな当たり前のことに皆、気がつきません。冷静に考えてみてください。ものすごい効き目のある育毛成分があるなら、どうして、それを塗布剤や、飲み薬やサプリメントとして使わないのか?シャンプーの成分として使ったら、流れ落ちちゃって、効き目も落ちます。シャンプーを流す前に、10分ぐらい頭につけて浸透してから流すから、効いてるんだよ!と反論が聞こえてきそうですが、それでもシャンプーは流れ落ちるものです。

もし、自分が開発者の立場にあって、育毛成分に自信があるなら、それを効果を半減させるようなシャンプーなんかに混ぜませんよ。流れ落ちてもいい程度の、その程度の成分しか入っていないのです。育毛シャンプーのそのほとんどは、ちゃんと説明を読めば、それ単体で育毛効果を望めないことはちゃんと書いてあります。

芸人によるテレビCMも思いっきり後押ししています。「スカルプD」が近年では一番ヒットした記憶がありますが、アンファーは実にうまく演出していました。筆者もかつて、6本セットを何回か買いましたが、それによる育毛効果を感じたことは結局一度もありません。
(ブログ内では、自身を鼓舞する意味で、効果があるようなコメントを書いていましたが、数年後、冷静に評価すると上記のようになります)

自分がこんなの絶対ありえない、嘘だ!と思っても、まわりにいる人たち皆がそれを選んでいれば、ヒトは流されてしまいます。それがメディアの恐ろしいところです。大企業は、お金のモノをいわせて、注目を集め、人々の当たり前を根こそぎ変えてしまいます・・・・

ヘアサロンの常套文句!「皮脂がつまっていると毛が育ちにくい」・・・全く根拠のない話である

これは一時期、よく言われました。今時、こんなことを言ってるサロンは、もうないだろうと思いたいのですが、そうでもないように思います。育毛専門サロン、美容室などで、皮脂をきれいにするスカルプケアって、どんなものですか?と聞くと、だいたい毛髪を育てるためには、皮脂をきれいにする必要があると言われます。

皮脂は取り過ぎても逆効果ですし、皮脂の多い少ないは、薄毛問題とは全く関係ありません。薄毛の原因のほとんどが、男性ホルモンに関与しているので、はっきり言って、スカルプケアをしようがしまいが、薄毛の問題は解決しません。ヘアサロンの言う「スカルプケア」とは、ああ気持ちいい~~と癒しを味わうためのものだと思った方がいいでしょう。スカルプケアをヘアサロンで、受け続けるのは自由ですが、薄毛が解決するかどうかは、また別問題です。それで解決した人は、もとより大した薄毛ではなかったのか、別の方法が功を奏したのかも知れませんね。

薄毛になる理由

(男性ホルモンの話)

人を悩ませる薄毛(私もこの問題を解決すべく長年、幾度のチャレンジを繰り返してきましたが)、つまりは脱毛症には、大きく分けて2種類あります。

①成長期にもかかわらず、髪が抜けてしまう成長期脱毛。
②成長期が休止期に入って脱毛する休止期脱毛。

男性型脱毛症は、②のことで、薄毛のほとんどの人が、この②にあてはまります。ちなみに①の代表的なものは、円形脱毛症などがあります。

この男性型脱毛症は「Androgenetic Alopecia」、通称AGAと呼ばれる。かつての爆笑問題のCMなどでも告知が広まり、今や男性でこのAGAを知らない人はいないというほどです。そして、この病気のメカニズムが解明され、画期的な治療薬フィナステリド(商品名:プロペシア)が登場しました。

薄毛になるメカニズム

男性型脱毛症の発症に、男性ホルモンと遺伝が関与していることが分かったのは、およそ、70年前。アメリカの解剖学者J・B・ハミルトンが、初めて生化学的に実証したのです。

ハミルトンは、思春期前後に去勢(動物の繁殖を防ぐなどの目的で、雄の生殖腺をとり去ること)された人に男性ホルモンのテストステロンを投与し、発毛のパターンを観察しました。思春期以前に去勢された人は、その後の発毛パターンが一定します。

しかし、このうち家系に男性型脱毛症発症者がいる人は、テストステロンを投与すると、脱毛が始まりました。また、去勢された時点ですでに脱毛が始まっていた人の場合、去勢したことで脱毛の進行が止まりますが、テストステロンを投与すると再び毛が抜けることが分かったのです。

では、なぜ男性ホルモンは、思春期に髭や腋毛などの毛が発育するときに大きな役割を果たす一方で、頭部の毛を失くす働きもしてしまうのか?

髭と男性ホルモンの深いかかわり

男女を問わず、思春期になると男性ホルモンの作用により、ヘアサイクルが変化します。男性の場合、子供のころは、髭や胸毛は軟毛なのでほとんど目立ちませんが、思春期になると髭も胸毛も硬毛化してきます。これが男性ホルモンの働きです。

男性ホルモンは女性ももっていますが、女性の場合、思春期を過ぎても顔や胸部分の毛は軟毛のまま。ただし、腋毛や陰毛は男女を問わず思春期の頃から男性ホルモンの作用で硬毛になってきます。

男性ホルモンだけでなく、甲状腺ホルモンやビタミンD、グルココルチコイドなど、ステロイドレセプターファミリー(※1)の多くも、私たちのヘアサイクルに影響を及ぼします。ただし、男性ホルモン以外は主に毛包の上皮細胞に作用するのに、男性ホルモンは間葉系細胞(※2)にのみ直接影響を与えることが分かりました。


男性ホルモンの代表的なものはテストステロンですが、これが血中を流れて細胞内に入ると、5α-リダクターゼという酵素によってジヒドロテストステロン(DHT)に変化します。このDHTが細胞内の男性ホルモンレセプター(受容体)と結合して細胞の核内に入り、標的遺伝子のプロモーター(※3)に結合してタンパク質誘導を行い、生物学的な作用を起こします。

男性ホルモンが働くためには、酵素、男性ホルモンレセプター、それに標的遺伝子が欠かせません。テストステロンがDHTに変化することで、男性ホルモンレセプターとの結合性が10倍ほど強まることは以前から分かっていました。

では、ヒトの皮膚、とくに毛包ではどこに男性ホルモンレセプターがあるのでしょうか?レセプターの抗体を使って免疫組織染色をするという簡単な方法でこれを調べてみると、上皮系の毛母細胞には男性ホルモンレセプターはなく、間葉系の毛乳頭細胞にそれがあることがわかりました。これが「毛」を作る組織の特徴です。

と言っても、すべての毛包の毛乳頭細胞に男性ホルモンレセプターがあるわけではありません。頭部では前頭部、頭頂部、また髭や腋毛の毛乳頭細胞には男性ホルモンレセプターがありますが、後頭部の毛乳頭細胞にはこれがないのです。男性型脱毛症を発症した人でも、後頭部の毛が最後まで残っているのは、その部分の毛乳頭細胞に男性ホルモンの感受性がない(男性ホルモンレセプターがない)からにほかなりません。

男性ホルモンのパラドックス

ここからが本題です。毛の発育に対する男性ホルモンの作用というのは、髭であれ、前頭部であれ、毛乳頭細胞がターゲットになっています。ところが、男性型脱毛症を起こす人の場合、男性ホルモンが髭では毛の発育を促進するシグナルをだし、前頭部では発育を抑制するシグナルをだすわけです。これはどういうメカニズムなのか。生体内で起こるこの相反する反応を、試験管のなかで再現してみました。

試験管のなかで毛乳頭細胞と角化細胞(※4)という2種類の細胞を「共培養」(※5)し、そこに男性ホルモンを入れた時に毛乳頭細胞と角化細胞がどうなるかを調べたのです。まず、髭の毛乳頭細胞を使った実験では、男性ホルモンを加えることによって、角化細胞の増殖が促進されました。つまり、男性ホルモンによって髭が濃くなる、という現象が試験管のなかで再現されたわけです。

一方、男性型脱毛症を起こす前頭部の毛乳頭細胞を使って同じ実験をすると、角化細胞の増殖を抑制する結果が得られました。男性ホルモンが髭に及ぼす影響とは、まったく逆の作用です。

この実験は、「毛乳頭細胞から何らかのシグナルがでている」という仮定で行っているので、毛乳頭細胞を集めて遺伝子発現を調べてみた結果、以下のことが分かりました。


思春期に男性ホルモンが増えてくると、髭の毛乳頭細胞からはIGF-1という成長因子が産生されます。このIGF-1が角化細胞を刺激して、髭の成長が促進されるのです。

かたや、男性型脱毛症を起こす前頭部では、男性ホルモンが増えると毛乳頭細胞からTGF-β1という因子がでます。このTGF-β1が、IGF-1とは逆に角化細胞が増えるのを強力に抑制したり、あるいはアポトーシス(細胞の死)を起こさせるのです。たとえば、このTGF-β1をマウスに打つと、脱毛が起きてきます。

このことから、男性型脱毛症の発症には、男性ホルモンによって毛乳頭細胞から分泌されるTGF-β1が重要な鍵を握っていることが分かったわけです。発症のメカニズムが解明されたことで、急速に治療薬の開発も進みました。

※1・・・ステロイドレセプターファミリー。ステロイドホルモンによる細胞内の情報伝達にかかわる転写因子。
※2・・・間葉系細胞。骨細胞、心筋細胞、脂肪細胞、繊維芽細胞など、骨や脈管系皮膚などの形成に関与する間葉系に属する細胞。
※3・・・プロモーター。遺伝情報の発現の際、転写因子が結合して転写を始めるDNA上の領域。
※4・・・角化細胞。生物の表皮などを角化させる細胞。内部を保護するほか、サイトカインを分泌して免疫細胞を活性化させる役割ももつ。
※5・・・共培養。細胞間の相互作用を調べるために、接着する領域を制御しながら2種類以上の細胞を培養すること。

薄毛を克服するために何をすれば良いのか?

薄毛になるメカニズムがわかっても、対策を取らなければ何の意味もありません。男性型脱毛症は、↑の毛乳頭細胞における男性ホルモンの作用機構の図で紹介したように、男性ホルモンが、5α-リダクターゼという酵素と結びついて、ジヒドロテストステロン(DHT)に変化して、毛乳頭細胞内で作用することによって、起こります。

つまりは、このジヒドロテストステロン(DHT)が産出されないようにすれば、薄毛を克服できる訳です。それには、飲む治療薬フィナステリドが有効です。他にもいろんな育毛グッズが存在しますが、直接、この男性ホルモンに作用する薬としては、その効果は群を抜いています。商品名は、「プロペシア」とそのジェネリック薬品の「フィンペシア」になります。

男性型脱毛症の治療薬:フィナステリドは、Ⅱ型の5α-リダクターゼの作用を妨げる薬です。アメリカで1983年に合成され、前立腺肥大の治療薬として、1992年アメリカのFDA(食品医薬品局)に認可されました(商品名:プロスカー)。

ある薬物が治療薬として認定されるためには、患者さんの協力を得て臨床試験が行われます。フィナステリドも前立腺肥大の薬として臨床試験が行われたわけですが、その過程で男性型脱毛症の人に投与すると育毛効果が現れることがわかり、育毛剤としての研究もなされるようになったのです。

アメリカのFDAがフィナステリドを男性型脱毛症の治療薬として認可したのは、1997年のことです。前立腺肥大治療薬としてのフィナステリドは、1錠につき5mgの含有量ですが、男性型脱毛症の治療薬は1錠あたり1mgの含有量です。

それまでの脱毛症治療薬は、ほとんどが頭に直接塗る外用薬でしたが、フィナステリドは内服します。これを飲むと、テストステロンが細胞内に入ってきたところで、Ⅱ型の5α-リダクターゼの作用を妨げ、ジヒドロテストステロンの産出を抑えるので、これによる脱毛作用も食いとめることができるわけです。

薬理作用としては非常にシンプルですが、初めて世に出た効果的な「飲む発毛剤」として、一躍世界的に注目を集めました。2007年10月には、世界の60か国以上で承認されており、現在では、その数をさらに伸ばしています。

まとめ

繰り返しになりますが、男性型脱毛症は、男性ホルモンが、5α-リダクターゼという酵素と結びついて、ジヒドロテストステロン(DHT)に変化して、毛乳頭細胞内で作用することによって起こります。それを防ぐために、有効なのは、ジヒドロテストステロン(DHT)産出を防ぐために、フィナステリドを服用することです。

そして、もう1つ、育毛を促進させるために、「IGF-1」という成長因子を増やすことが重要です。これも、サプリメントなどでも購入することは可能ですが、IGF-1を増やすためには、食品から摂取することが効果的で、唐辛子と大豆を組み合わせて摂取することがとても良いと言われています。詳しくは「薄毛対策の方法まとめ」をご覧ください。

なお、上記の「薄毛を克服するためには、フィナステリドを服用すること」、これは私自身も実体験をして、承知していることではあるが、その副作用がきついために、私自身はこの方法を途中で断念しています。フィナステリドを服用しようという方は、高額になっても医師の診断を受けることをお勧めします。それが嫌だという方は、私の薄毛対策の方法まとめを参考になさってください。